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1.どんな末期症状でも、倒産は防げる!私は「体験記」や「プロフィール」のページで書いたとおり、おおよそ借金苦や倒産危機で考えられる最悪の事態を、ほぼ全て経験したことがあります。(経験していないのは自己破産と民事再生と競売くらいです。) 1998年〜2000年頃のことです。借入先36社以上、有利子負債の総額だけで7500万円以上、その多くが高利でした。売上は2000万円前後しかありませんでした。完全に破綻状態でした。最もひどい時には、ヤミ金の監禁まがいの取立てや、手形不渡り、借金の長期延滞、法的手続き、差押、信用失墜など、あらゆる苦痛を味わいました。それでも、どうにか倒産せずに済みました。今もその会社は残っています。 こんなひどい末期症状でも、立ち直れる方法はあるのです。 これは何も、私だから出来たわけではありません。当時私は30歳を過ぎたばかりの元サラリーマンの若造でした。あなたにだって必ずできます。また、もっとひどい末期症状の人だって、倒産を防ぐ道はいろいろあります。大事なのは「意識」と「知識」の両輪です。 ごく簡単にいってしまえば、たとえ倒産に限りなく近い「状態」になってしまっても、あなたが事業継続を諦めず、倒産のための「手続き」に入らない限り、それは倒産とはいえません。(「意識」の問題ですね) 手形の不渡りは倒産ではありません。不渡りを出して銀行取引停止になっても、普通預金は使えますし、裁判所や法務局もノータッチですから、法律上、倒産ではないのです。 また、借金の返済が遅れて一括請求や法的手続きや差押を受けるのも倒産ではありません。それは単なる契約不履行による個々のペナルティに過ぎません。 不渡りを出して、銀行や商工ローンやヤミ金の返済も遅れて、債権者がいっせいに押し寄せてくるような事態に陥っても、それは倒産ではありません。 少なくとも法律上は、破産の申立や会社解散の手続きでも取らない限り、あなたの会社は残っているのです。(これらは「知識」の問題ですね) あとは社長さん次第です。知恵と努力と行動次第で、どんなにどん底まで落ちても、一旦失った信用を取り戻して、事業を再生させることは十分できるのです。 2.倒産の3要因ひとくちに倒産といっても、そこには大きく3つの要因があります。
通常、倒産の直接の原因は「資金繰り」です。お金が足りなくて手形が落とせず不渡りになったとか、期日どおりに返済できなくなってうるさい取立てが止まないので事業継続を断念したとか、要するに「資金繰り」です。 黒字倒産という事態に陥る会社も、よくあります。黒字で、じゅうぶんな資産超過なのに、目先の資金繰りにだけ詰まってしまい、不渡りを出して事業継続を断念するとか・・・。 逆にいえば、赤字でも債務超過でも、資金繰りさえ上手にやりくりできていれば、不渡りもうるさい取立ても起こらず、倒産の引き金は引かれないのです。 ですから、我々経営者は、一にも二にも「資金繰りの正常化」に気を遣うのが倒産回避の第一歩、基本中の基本です。 しかし、「資金繰り」さえ正常に回っていれば良いというものではないことは、言うまでもありません。 たとえば「赤字」。赤字が2期も3期も続くと、自己資本がどんどん減少します。債務超過にも転落しやすくなります。赤字で自己資本比率の低い会社には通常、銀行はカネを貸したがりません。債務者区分が「正常先」から「要注意先」「破綻懸念先」にランクダウンします。そうなると、銀行は、つなぎ融資(短期借入金)をストップせざるを得ません。既に貸し付けている融資も引き上げに入らざるを得ません。俗にいう「貸し渋り」「貸し剥がし」です。当然、手元のキャッシュは急激になくなり、「資金繰り」に難をきたします。 また「債務超過」も、単なる債務超過だけではすぐには倒産しませんが、債務超過とは自己資本がマイナスになるほど「負債の比率が高い」ということにほかなりませんから、当然、返さなければならないものに毎月毎月追われることになります。つまり、資金繰り難に極めて直結しやすいのです。 このように、倒産の3要因である「債務超過」と「赤字」と「資金繰り難」は、それぞれ密接にリンクしあっています。一つとして無視することができません。 短期的には、資金繰りの問題さえクリアしていれば「突然死」する恐れはありませんが、中長期的には、赤字体質の改善や、債務超過の解消、ひいては自己資本比率のUPに努めなければ、会社を安定させることはできません。せっかく倒産を防ぎ、再建を目指すなら、長期的なビジョンも見失わないように頑張りましょう。 さて、あなたの会社はどこに問題がありますか? 債務超過?赤字体質?資金繰り?それとも全部? 3.つらいときこそ、うまいものを食え!経営状態が悪化して資金繰りに窮してくると、多くの社長さんが、「一にも二にも借金返済」で、借金返済のためにあらゆる犠牲を払います。ひどい場合は従業員の給料も遅らせて、社長自身も給料を取らず、自宅の電気ガス水道は止められる寸前、お子さんの学費も滞納しがち・・・。「借りたカネは、一日も遅れず返さなければならない!」という一心で、借金返済のために全てを犠牲にする。これは一見すると立派ですが、経営者としては最低です。誰も喜びません。
順調に回っている会社なら、この順位のままでもいいでしょう。やはり信用は守るべきですから。 でも、倒産寸前の会社の社長さんは考え直してください! ピンチになればなるほど、資金が枯渇します。もはや関係者全員に約束を守り通すことはできないかもしれません。何かを犠牲にし、何か限られたものを守りきる。究極の選択を迫られます。全てを守ろうとすると、全てを失うでしょう。 限られた資金の使い道を、一に返済、二に返済、三に目先の支払いとしてしまうと、自分の生活費や従業員の給料が残りません。 そうなると、まず従業員のモチベーションが下がります。いい仕事をしてくれなくなるかもしれません。できる人間から先に辞めていってしまうかもしれません。 家族の関係もヒビが入りやすくなります。奥さんは情緒不安定になり、息子さんはグレてしまうかもしれません。 もちろん、お父さんの家庭での居心地もすこぶる悪くなります。ストレスで酒の量も増えるでしょう。 こうやって、心も体も悪いほうへ悪いほうへ向かってしまうのです。 心も体も蝕まれ、大事な戦力であった従業員にもサジを投げられてしまったら、もはや、「いい仕事」はできません。「いい仕事」ができないと、せっかくの「返したい!」という気持ちも、空回りしてばかりで、ますます実行できなくなるでしょう。しまいには、返したい気持ちで一杯の債権者にも迷惑をかけてしまいます。 結局、債権者も身内も誰も喜ばない最悪の結果を招いてしまいます。 倒産した後も最悪です。家族にも社員にも取引先にも見放されて、ゼロからの再出発が極めて困難になるでしょう。 こうして、ずっと負のスパイラルから抜け出せなくなるのです。 では、こうならないようにするためには、どうしたらいいのでしょうか? 簡単です。 逆のことをすればいいのです。 つまり、こうです。
これなら、少なくとも、家族や社員ら「広い意味での身内」は、離れていきません。苦境にもかかわらず、がむしゃらに家族と社員を守ってくれる社長に対して、むしろ敬意を抱いてくれるでしょう。世界中を敵に回しても、身内だけは心強い味方のままです。 心と体も壊さずに済みます。負のスパイラルに落ち込まず、「いい仕事をして、何年かけてでも借金を返してやるぞ!」 という気力体力が持続します。 今暫くは、借金返済を滞って債権者に甚大な迷惑をかけるかもしれません。ひどい罵声を浴びたり、しかるべきペナルティとして訴訟を起こされたり差押を受けたりして精神的苦痛を受けることも当然あるでしょう。 しかし、それでも、上の「悪い例」よりはずっとマシではありませんか。 自滅して全員に迷惑かけて全てを失うよりは、一時的に借金返済を後回しにしてでも自分を大事にする。悪循環に陥らない。 もちろんギリギリの選択です。でも、ピンチであればあるほど、こうしなければならないのです。 最悪、倒産に至っても、倒産後のゼロからの再出発には、家族や元取引先などが協力してくれるでしょう。地元から離れる必要もありません。 4.自分を特別視するな!私はここ数年、講演会や勉強会や相談会等を通じて、数え切れないほどの苦しんでいる人たちと出会ってきました。
などなど、枚挙に暇がありません。 ところで、多くの皆さんに共通していることがひとつあります。それは、皆さん、「自分を特別視し過ぎている」ということです。 まるで悲劇のヒロイン。世の中に自分よりも悲惨な人はいないだろうと、本気で思い込んでいるようなのです。 まあ、無理もありませんね。気持ちはよくわかります。 でも、それは間違っています。 上に挙げた借金600万円の人も、御主人が5000万円の借金を抱えている人も、1億円の手形が回収不能になった人も、けっして特別ではありません。よくある話ばっかりです。 少なくとも、うちに相談に来る人の中では「平均的」か「むしろ軽いほう」といっても過言ではありません。 ちなみに、私が今まで直接見聞きした中で最も末期症状な人(こりゃスゲーなと思った人)は、次のとおりです。
私自身もそこそこ苦労した過去がありますが、私なんてかわいいほうです。 あなたの悩みは、たぶん、ちっぽけな悩みです。 解決方法はいろいろあるはずです。 あまり自分を特別視せず、第三者の目で自分を見つめ直してみましょう。 5.すべては現状把握から始まる。仮に 「借金がすごいんです!お願いです!助けてください!(号泣)」 という相談があったとします。 実際、この手の相談は少なくありません。 私はこういうとき、まず、「大丈夫ですよ。」「解決方法はあります。」 と前置きしながら、こういう質問とアドバイスをします。 「どこから、いくら借りてるのですか?」 「お仕事は?」 「延滞の有無は?」 「担保や保証人はついていますか?」 「資産はお持ちですか?」 「必ず解決方法はあるものですが、こういった具体的なことがわからない限り、こちらも具体的なアドバイスはできませんよ。 あいまいな相談にはあいまいにしか答えられません。具体的な相談には具体的に答えられます。」 「ですから、まずは落ち着いて、現状把握から始めてください。」 「現状が性格に把握できたら、また相談に来て下さい!」 と。 皆さんも、倒産危機で悩み始めたら、何よりもまず「現状把握」から始めて下さい。 事業者の場合、把握すべきことは次のとおりです。
でも、このくらい詳しいことが把握できてくると、自分でもかなり冷静になってくることうけあいですし、しかるべき専門家に相談しても、かなり明確なアドバイスが得られるようになります。(但し、良い専門家に当たれるかどうかは別問題ですが・・・) 「敵を知り己を知れば百戦危うからず」。 ここに書いたのは、「己を知る」ための作業です。 己を完全に知ることができれば、つまり現状把握が完全にできれば、もう問題の半分近くは解決したも同然です。 6.無知を自覚しよう!相談しよう!我が国では、セックスの話題と借金の話題は、職場でも学校でも家庭でもタブー視されがちでした。そのため、どんな博識な人でも、借金対策にかけては驚くほど無知なことがほとんどです。 恥じることはありません。あなたが悪いわけではないのです。知らないのが普通なのです。 ですが、自分がこの問題について「無知」であることは、よく自覚しなければなりません。無知を自覚して、謙虚な気持ちになって、ゼロから勉強するのです。本やネット検索で情報収集する。自分の置かれている現状を把握する。そして次は、専門家に相談する。 相談先は無数にあります。(我がNEKO-KENも、あなたの相談先のひとつです!) ひとつの相談先を過信しないで、いろいろと、タイプの異なる専門家に当たってみましょう。「法律」寄りの専門家、「会計」寄りの専門家、「経営」寄りの専門家、商工会議所や中小企業再生支援協議会など公的団体、民間ボランティア系の小さな団体、などなど。 尚、相談は相談。契約は契約。相談料金ぐらいは捨てるつもりで惜しまず払って良いと思いますが、高額の顧問契約や受任契約のようなものは慎重に考えて下さい。 くれぐれも、会ったばかりなのに高額の契約書に印鑑を押すようなことはしないで下さい。 もっともらしい名前で事務所を構えて低レベルな助言しかしてくれないぼったくりの悪徳業者も沢山います。また、信頼できる腕のいい先生でも、あなたとの相性が悪い場合もあります。慎重に! |
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